アディダスの革新的モデル「アディゼロ エヴォ SL」を26.0cmで購入しました。
10万円超えのEVO 1のDNAを継承し、カーボン非搭載ながら驚異的な反発と軽さを誇る一足です。
実際に走り込むとサイズ感は完璧な一方、ライトストライクプロ特有の「柔らかすぎるが故の不安定さ」という意外な弱点も見えてきました。
今回は、その類まれなる性能と引き換えに、使う人を選ぶ「鋭い個性」を忖度なしでレビューします。
【スペック確認】アディゼロエヴォ SLの基本仕様

一言で言えば、「世界最速の系譜を、日常のトレーニングに落とし込んだ贅沢すぎる一足」です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 重量 | 約180g(27.0cm片足) |
| ミッドソール | LIGHTSTRIKE PRO(フルレングス) |
| プレート | 非搭載(カーボンなし) |
| スタックハイト | 前足部 32mm / 踵部 38mm(ドロップ 6mm) |
| アッパー素材 | エンジニアードメッシュ |
驚異の「180g」という軽さ
手に取った瞬間、誰もが「えっ?」と声を漏らすはずです。
一般的なデイリートレーナーが230g〜260g程度であることを考えると、この180gという軽さはもはやレーシングシューズの領域。
走っている最中に足元の重さを感じることは皆無で、ピッチ走法の方にはたまらない軽快さがあります。
「フルレングス」のLIGHTSTRIKE PRO
アディダスのエリートモデル(アディオスプロ3など)に採用される超高反発素材「LIGHTSTRIKE PRO」を、贅沢にもつま先から踵まで全面に使用しています。
通常、この素材はカーボンプレートと組み合わせて「剛性と反発」を両立させますが、エヴォ SLにはプレートが入っていません。
デイリーユースを意識した6mmドロップ
厚底レーシングモデルに多い8mm前後のドロップではなく、少し抑えめの6mmドロップを採用。
勝手に転がるような強制的な推進力ではなく、自分の足で地面を押して進む「トレーニング本来の楽しさ」を味わえる設計になっています。
【サイズ感】26.0cmを購入!フィット感はどう?
私はアディゼロ ジャパンやタクミセン、アディオスプロ3などで26.0cmを愛用していますが、今回も同じ26.0cmを選択。
結果として、サイズ交換の必要は一切感じないジャストフィットでした。
アディゼロシリーズ特有の、ややタイトめで縦の長さが適切に確保されたラスト(木型)が採用されています。
捨て寸も適切で、指が当たって痛くなるようなことはありません。
アッパー素材がもたらす意外な余裕
スペック紹介でも触れたエンジニアードメッシュですが、これが非常に薄くてしなやかです。
レーシングモデルほどガチガチに固められていないため、足を入れた瞬間に「お、少し余裕があるかな?」と感じるかもしれません。
しかし、これはサイズが大きいのではなく、アッパーの柔軟性が高いために足の形に沿って膨らんでくれるからだと思われます。
注意点:踵(かかと)のホールド感
ここが少し好みの分かれるポイントです。
エヴォ SLの踵周りは、軽量化のためにパッドが最小限に抑えられています。
ガッチリとヒールカウンターで固定されるタイプが好き方には、少し心もとなく感じるかもしれません。
とはいえ、靴紐をしっかり締めれば浮くような感覚はなく、軽快な足さばきを邪魔しない絶妙な設計です。
【実走レビュー】実際に走ってみて感じた「光と影」
このシューズを一言で表すなら、「制御を解かれたライトストライク プロの暴馬」です。
【光】カーボンなしとは思えない異次元の反発
まず驚いたのは、やはりその反発性です。プレートが入っていないため、自分の足の動きに合わせてミッドソールがグニャリと形を変え、その後強烈な復元力で押し返してきます。
- ジョグ(キロ5分〜6分): 沈み込みが深く、マシュマロの上を歩いているような極上のクッション性。
- ペース走(キロ4分前後): ピッチを上げると、軽さが牙を剥きます。足が面白いように回り、まるでシューズが「もっと速く行けるだろ?」と急かしてくるような感覚。
「カーボンがなくても、素材だけでここまで戦えるのか」という感動。
これがこのシューズの最大の光です。
【影】ミッドソールが柔らかすぎるが故の「不安」
しかし、今回私が皆さんに一番伝えたいのはここからです。
26.0cmのジャストサイズを履いているにもかかわらず、走れば走るほど「足元の不安定さ」が気になりました。
なぜ安定しないのか?
エヴォ SLは、超軽量かつ高反発な「ライトストライク プロ」をフルレングスで採用していますが、それを支えるプレート(背骨)がありません。
その結果、以下のような現象が起こります。
- 着地時のグラつき: 接地した瞬間にソールが全方向に潰れる感覚があり、特に疲れてフォームが崩れてくると、左右にグニャリと力が逃げるのを感じました。
- 足首への負担: 「自分で安定させなければならない」という意識が働くため、知らず知らずのうちに足首周りの筋肉を酷使します。
- 路面を選ぶ: 綺麗なアスファルトなら快適ですが、少し凸凹した道やタイルの上だと、ソールの柔らかさが災いして「足を取られそうな不安感」が強まります。
正直に言って、「誰でも楽に速く走れる魔法の靴」ではありません。
ミッドソールの柔らかさをコントロールできる「体幹」と「足首の強さ」があるランナーにとっては最高のアシストになりますが、そうでないランナーにとっては「ふらついて走りにくい靴」になりかねない。
私は全体的な性能には満足していますが、この「不安定さ」というデメリットを許容できるかどうかが、このシューズを愛せるかどうかの境界線だと感じました。
アディダスエヴォSLのメリット・デメリットまとめ
メリット:ここが最高!
- 「非カーボン」の常識を覆す推進力 プレートがない分、自分の足指で地面を掴み、ライトストライクプロの弾力をダイレクトに推進力へ変える感覚。これは唯一無二の快感です。
- 驚異的な軽さ(約180g)によるピッチの向上 足元が軽いだけで、これほどまでに脚の回転がスムーズになるのかと驚かされます。後半に脚が重くなった時、この軽さが最大の味方になります。
- 圧倒的な衝撃吸収性 「デイリートレーナー」を名乗るだけあり、クッション性は抜群。スピードを出しても翌日に脚のダメージが残りにくいのは、ライトストライクプロの恩恵です。
デメリット:ここが惜しい・不安…
- ミッドソールの「不安定さ」(※本記事の最重要ポイント) 中足部から踵にかけての安定感が心もとなく、接地時に左右へパワーが逃げる感覚があります。足首の強さがないと、長く走るほど「ふらつき」による疲れを感じやすいです。
- 路面コンディションに左右される ソールの接地面積が広く柔らかいため、雨の日のタイルやマンホール、砂の浮いた路面ではグリップ力が物足りず、滑りやすさを感じることがあります。
- コストパフォーマンスと耐久性 デイリートレーナー(練習靴)としては高価な価格設定です。また、アウトソールのラバーが薄く、ミッドソールが剥き出しの部分も多いため、1,000km以上ガンガン履き潰すような耐久性は期待しにくいかもしれません。
アディダスエヴォSL【合う・合わない】あなたはどっち?
「合う」ランナー:こんな人には最高の相棒!
- フォアフット〜ミッドフット接地の人
- 足首の剛性が高く、体幹が安定している人
- 「カーボンシューズの硬さ」が苦手な人
- スピード練習やインターバルを軽快にこなしたい人
「合わない」ランナー:注意が必要な人
- 強い「踵(かかと)接地」の人
- オーバープロネーション(内倒れ)の癖がある人
- 「これ一足で全てをこなしたい」初心者ランナー
まとめ
アディゼロ エヴォ SLは、異次元の軽さと反発力を備えた「走る楽しさ」を再定義する一足です。
サイズ感は完璧でしたが、プレート非搭載ゆえの「ミッドソールの柔らかすぎる挙動」は、間違いなく好みが分かれます。
この不安定さを脚力で制御できるランナーには最強の武器となりますが、安定感を求める方には諸刃の剣。
自分の走法と相談し、この「尖った個性」を乗りこなせるか検討してみてください!


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